再石灰化は推論、データなし

フッ素がむし歯予防に効果があるとしてよく言われるのは「再石灰化」です。
酸によって溶けてしまった歯の表面を修復してくれる、という働きで、難しく言うと「エナメル質のハイドロキシアパタイトの水酸基が、フッ素イオンと置換して、フルオロアパタイトになる」となるのだそうです。
なんだか高校時代の化学反応式に苦労した頃を思い出します。

 

フッ素がむし歯予防に効果がある、と言う限りは、この化学反応は、様々な実験を通して実証されているはず・・・・なのですが、意外なことがわかりました。

 

2019年の国会で、ある議員さんがこの難しい化学反応を立証したデータを示すように厚生労働省に要求したところ、「お尋ねのデータについては、いずれも把握していない」という回答が返ってきたのです。

 

データがない?嘘でしょ?再石灰化のメカニズムは、たくさんの実験でしっかり確かめられたものではない、と言うことになるよ?そうなの?

 

そうなんです。実はこの再石灰化のメカニズムは、基礎研究から「推論された」化学変化であり、人間の実験で確かめたものではないのです。

だから厚生労働省も「データは把握していない」となったわけです。

 

実は、日本のある研究者が、フッ素のむし歯予防効果を調べる実験を行っています。その結果によると、フッ素液につけると逆に歯にダメージを与え、再石灰化もおこらなかったのだそうです。

 

でも、コクランレビューによれば、フッ素にはむし歯予防効果はあるかもしれないので、何らかの反応は起きているようですが、それが上の化学変化なのか、たんなる殺菌効果なのかははっきりしないことになってしまいます。(殺菌効果の影響であれば、再石灰化も起きないし、歯にダメージがあっても不思議ではない)

 

そもそもむし歯予防に使うフッ素は、他の記事でも紹介したように「フッ化ナトリウム」という化学物質で、殺虫剤や殺鼠剤(ねずみ取りの薬)に使われる物質ですので、殺菌効果は十分あります。

 

でもそうなると、口の中にある「細菌フローラ」を壊してしまう可能性はないのでしょうか?

 

なんだかよくわからないフッ素洗口。しっかりした根拠もないのなら、無理してする必要は、あります?ありません?