洗口液を作る養護教員

「朝の保健室」の記事に書きましたが、学校によっては養護教員が洗口液を作っている場合があります。

今はミラノールやオラブリスの顆粒を使って洗口液を作っていますが、以前は工業用試薬を薄めて洗口液を作っていました。

フッ素洗口を行う日は、通常よりさらに早く出勤します。慎重に作業をするために、1時間以上かかるからです。
まずは、身支度。できるだけからだの表面をおおうゴム製のエプロンを掛け、ゴム手袋をします。顔にはゴーグル。
万が一工業用試薬が目や皮膚につけば、養護教員自身が大変な被害を被ることになりますから、慎重の上にも慎重に作業しなければなりません。

さらには濃度を間違ったりしたら、子どもたちにどんな被害がでるのかわかりませんから、それは絶対に避けなければなりません。
緊張感と「間違えてはいけない」という責任とで、この作業はとても大変なものになります。
ある養護教員は、「苦痛でしかない。フッ素洗口をする日が来なければいいのに」と話してくれました。

ミラノールやオラブリスは、1回分が袋に入っていて、500CCの水で薄めますが、やはり緊張感や責任感は同じです。

そもそもの間違いは、薬剤師でもない養護教員が洗口液を作らなければいけないことです。
2019年に厚生労働省が出した文書によれば、薬剤師以外の人が調剤する場合は、次の条件を満たす必要があるとしています。

1,現実に薬剤師の目の届く場所で行うこと

2,作業する人が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること

3,最終的な確認は、当該薬剤師が自ら行う必要がある。

この文書の通りにする必要があるとすれば、学校で養護教員がする洗口液を薄める行為は、薬剤師法違反です。さらにこの文書には、薬剤師以外が「混合する行為」は、薬剤師法違反である、とも書かれています。

実際に養護教員が濃度を間違える、という事件は起きているのです。
また、担任や養護教員がフッ素液と消毒液を間違える、という事件もおきています。

養護教員も担任も、そもそも洗口液を調剤したり、計量したりする資格はないのです。
資格がないのに、こんな作業を、緊張しながら、心配しながら、なぜしなければいけないのでしょうか。