むし歯は減らないどころか・・・

(「本当にむし歯は減るのか」のページより続く)

学校における集団フッ素洗口で、本当にむし歯が減るのかを確かめた所があります。
フッ素洗口が導入されたいくつかの学校と、同じ地区内にあるフッ素洗口を行っていない幾つかの学校とが協力して、数年にわたってデータを集約したのです。

 

フッ素洗口を実施した学校では、校内でフッ素に関わる内容を、子どもたちと話す機会を少なくしました。教職員はフッ素をいいとも悪いとも言いませんから、子どもたちはフッ素に関する余談を持ちにくくなります。
当然ですが、フッ素洗口を実施していない学校ではフッ素のことは話題になりませんから、実施している学校と同じ状況になります。
さらに、フッ素洗口を実施する前と実施後で、全ての学校で歯に関する教育活動を減らしたり増やしたりしないようにしました。
つまり、フッ素洗口を実施する前と後で、変化したのは「フッ素洗口を実施した」という事実だけになるようにしたのです。

 

正直、これはとてもつらい活動でもありました。子どもたちにはいろいろな知識を持って成長して欲しい、と願っているのに、新たな教育活動は実施しない、というのですから・・・。でも、この地区の教職員たちは、まず、子どもたちをフッ素の害から守ることを最優先に考えて結束しました。

さて、その結果は・・・

 

実施後2年目から、フッ素洗口を実施した学校のむし歯が増加し始め、3年目はその傾向が一層顕著になりました。同時に歯肉炎のある子どもの数も増加していきました。4年目。歯科医師会から「学校で給食後に歯みがきをさせて欲しい」という要望がだされ、各学校で給食後に歯みがきをするようになりました。

その後、若干の変動はありますが、少しずつむし歯も歯肉炎も減少し、6年目に教育委員会は「フッ素洗口の効果は認められない」という結論に至り、フッ素洗口は中止されました。

 

この時フッ素洗口を実施した学校の児童数は約500名。ほぼ半数がフッ素洗口を実施し、半数はフッ素洗口を実施しない、という条件になりました。同じ校内であれば、生活環境などもそう大きな開きはみられませんから、生活環境からの影響もある程度は同じに考えることができます。

つまりこの地区では、フッ素洗口でむし歯は減らなかったどころか、増加してしまったのです。

 

今のところ日本国内で、それなりの数の児童や生徒を対象にし、純粋に集団フッ素洗口のむし歯予防効果を調べた、信頼できるデータはみつかりませんでした。多くは新潟のような条件下での結果です。
学校でフッ素洗口を実施すると、むし歯が減る、という科学的証拠(エビデンス)は、今のところないのです。
あったら誰か教えてください。