この記事は、学校でのフッ素洗口に関する内容ではありませんが、最近気になる誤解についてお知らせします。
「フッ素入り歯みがき剤が口の中に残るように、うがいは1回だけで」とか、「イエテボリ法を使っているスウェーデンは、歯みがき剤のフッ素のおかげでむし歯が少ない」「NHKためしてガッテンで、そう言っていた」等の情報が目につきます。
2019年6月の国会で、当時の内閣総理大臣安倍晋三名で、厚生労働省が次のような発言をしています。
「フッ素入り歯みがき剤は、口腔内をゆすいで吐き出すことを行わずに、嚥下することを前提として製造販売を許可しているものではない」
つまり、日本国内で製造販売が許可されている歯みがき剤は、ゆすいで吐き出すことを前提にしている、ということで、嚥下するのは目的外使用なのです。
「うがいは1回」の目的は「フッ素成分を口の中に残すこと」です。
口の中に残った成分は、当然その後飲み込まれます。
フッ素成分だけではありません。歯みがき剤にはその他にも飲み込まないほうがいい化学物質が含まれているものもあります。
さらには、せっかく磨いて歯から落とした汚れも、口の中に残ってしまうことになります。
こういった間違った報道が、NHKでは複数回あり、抗議をしました。
また、スウェーデンの話ですが、「うがいは1回」の方法をイエテボリ法といいますが、これがスウェーデン内でどのくらい一般的かと言いますと・・・それほど「みんながやっています」という方法ではないようです。
つまり、一部の結果のみを見て、「効果あり」とうたっている可能性があります。
「歯ブラシ全体に歯みがき剤をつけて磨くとよい」というお医者さんもいますが、学校でたくさんの子どもたちをみていると、ぶくぶくと泡だけ立つ歯みがき剤が、逆に正しい歯みがきの邪魔をしているのでは?と思われる実態さえあります。
フッ素が入っていない歯みがき剤を使って、ちゃんとむし歯を予防しているお子さんもいます。フッ素だけがむし歯予防の方法ではないのです。
生涯にわたってからだの主人公になるために、化学物質を可能な限り減らしたり、正しい歯みがきの習慣や食生活を身につけたりすることを重視するか、誤解に基づいて行動するか、選ぶのは皆さんです。