フッ素液を「運ぶ」子どもたち

過去にこんなことがありました。

A県でフッ素洗口を実施している中学校の「むし歯予防教育」が、地元の新聞で紹介されました。
その記事に、洗口液を入れた500ml容器を持っている数名の生徒の写真が添えられていました。この生徒たちは、保健室から教室に洗口液を運ぶ活動を、「委員会活動」の一環として実施していたのです。
この記事をみたその県の教職員組合は、すぐに新聞社に抗議の電話を入れました。
危険な薬物を持っている中学生の写真を載せることで、「子どもに持たせても構わない」という安易なイメージを与えてしまう、と指摘したのです。
新聞社の方は、この容器の中に入っているのが「致死量のある薬物である」ということを知らなかったそうで、とてもびっくりしていて、「次は気をつけます」との返事があったそうです。

2022年度版の「集団フッ化物応用マニュアル」には、「フッ素洗口は『教育活動』だから、児童生徒をその活動に参加させることも考慮する」といった内容がありますが、これは2つの間違いをはらんでいます。

第一の間違いは、「フッ素洗口は『教育活動』である」という点です。
これまでも何度も繰り返してきましたが、医薬品を使ったフッ素洗口は、医療行為であり、単なる化学変化に過ぎません。
教員による教育的働きかけなど必要なく、洗口すれば勝手に化学反応が起きるだけ・・・という代物です。
歴代の文科大臣も、誰一人「フッ素洗口は教育活動なのか」という質問に、「そうです」と答えていません。

二つ目の間違いは、フッ化ナトリウムは致死量のある薬物であり、それを児童生徒に持たせる危険性を考えていない、という点です。

500ml入りの洗口液には、小学校1年生であれば4~5人、中学生であれば1~2人の致死量のフッ化ナトリウムが含まれています。
ご存じのように、フッ化ナトリウムは純粋に取り出した場合、その容器の表面に「ドクロマーク(急性毒性)」がつく物質です。他にも「発がん性」や「生殖細胞変異原性」「呼吸器感作性」「皮膚や目の損傷」などの指摘もあり、摂取量によっては死に至る物質です。

フッ素洗口を導入する場合、多くは「間違って飲んでも問題ない」という説明がされていることが多いのです。
もしそれを鵜呑みにした子どもたちが、飲んでしまったら?間違って誰かの皮膚にこぼしてしまったら?目に入ったら?

そもそも薬剤師が管理しなければならない医薬品を、子どもに持たせる危機管理意識を疑ってしまいます。

何としてでも学校でフッ素洗口をしたい、推進派のみなさんの必死さが伝わってくるようです。
でも、わたしたち教員は、子どもたちを守る方に軸足を置くべきです。
そう考えると、子どもたちに洗口液を運ばせることは、絶対に避けるべきですよね。