本当にむし歯は減るのか

フッ素洗口をすると、本当にむし歯はへるのでしょうか。

 

このHPのトップにあるように、ほとんどの子どもたちがフッ素入り歯みがき剤を使っている日本で、さらにフッ素洗口をしても、効果は上がらない、というシステマティックレビューが出されています。

このシステマティックレビューを上回るような科学的に信頼性のあるエビデンスは、今のところありません。

従って、日本の子どもたちが学校でフッ素洗口をしても、その影響でむし歯が減ることはない、と言えます。
科学的な信頼性をきちんと評価すれば、当然、このような結論になります。

 

にもかかわらず、日本中で、そして今もフッ素洗口を実施している、あるいは実施しようとしている自治体が後を絶たないのはなぜでしょう。
理由はいくつかありますが、その一つが、学校でフッ素洗口を行いたいと考えている人たちが、フッ素洗口の効果を誤った基準で判断している、ということがあります。

 

むし歯の原因は3つあります。1,歯みがきなどの生活習慣 2,食生活、そして3,歯質です。
ということは、むし歯が減少したとき、その原因として考えられることが3つある、ということです。
生活習慣が改善されてむし歯が減ることもありますが、食生活が改善されても、むし歯は減るのです。
フッ素洗口のような行為は、歯質を強化する、と言われているので、それがむし歯減少の原因になることもあります。

 

ところが、学校でフッ素洗口を推進したい人たちは、1と2の原因を考慮しません。

とある学校でフッ素洗口を開始した場合、その後にむし歯が減れば全て「フッ素洗口の効果です」と宣伝します。

 

でも実際は違っています。

例えば日本で一番むし歯が少ないと言われ、小学校では94%、中学校も58%の学校でフッ素洗口を行っている新潟県では、フッ素洗口以外の活動も強力に推進しています。
学校に歯科医院にあるような治療台があるところや、「シーラント」と言って、最もむし歯になりやすいかみ合わせ部分を埋めてしまう治療を、歯科検診と並行して行っているところ、学校祭には保護者向けの相談窓口ができていたり、もちろん保健教育もとても熱心に行われているのです。
これでは「フッ素洗口の効果でむし歯が減った」とは限定できないことは、誰の目にも明らかでしょう。

フッ素洗口を導入した多くの学校では、導入と同時に歯に関する教育活動も熱心に行われるのです。

 

では、これらのフッ素洗口以外の活動を行わなかったらどうなのでしょうか。(「むし歯は減らないどころか・・・」へ)