フッ素の摂取量

私たちは、日常生活で自覚しないうちにフッ素を取り込んでいます。
お茶、海草などの食品や、歯みがき剤、たばこ、一部の医薬品、直接取り込むものではなくても、化粧品やシャンプー、防水スプレー、フッ素加工のフライパンなどにもフッ素は使われています。

さらに、最近問題になっている「PFAS(有機フッ素化合物 PFOA,PFOS等)」も、フッ素の化合物です。
全国の様々な地域で、住民の血液や飲料水、工場排水や地下水などに「PFAS」が含まれていることが報告されています。
この物質は、「永遠の化学物質」とよばれるくらい分解されにくく、体内にとどまり続けるという特性を持っていて、妊婦や胎児に悪影響を与えたり、癌や甲状腺疾患を引き起こす原因になる、と指摘されています。

一方で、フッ素がむし歯予防にある程度の効果があることも事実です。
問題なのは、どのくらいフッ素をからだに取り込むか、ということです。

日本の「食品安全委員会」によれば、フッ素の1日当たりの耐容摂取量は、体重1kgあたり0.05mgです。

「耐容摂取量」とは、その量を一生にわたって毎日とり続けても健康被害がでない、と言われる限界量です。
フッ素の場合、体重60kgの大人であれば3mg、体重20kgの子どもであれば1mgが限界、ということです。

これまで、何人かの研究者が食品(お茶や水を含む)からのフッ素摂取量を調査していますが、最も最近のデータ(1994年口腔衛生会誌 副島隆氏)によれば、大人であれば1.44mg、6歳児で1.03mgのフッ素を摂取している、との結果が出ています。

このデータを元に考えると、食品以外のものから取り込んでも大丈夫なフッ素量は、大人では1.56mgですが、子どもではすでに食品からの摂取量が、耐容摂取量を超えていることがわかります。

もうこの段階で「さらにフッ素洗口して大丈夫なの?」と心配になってしまいます。
もちろん、食品からどのくらいフッ素を取り込むか、という数字は、人によって様々ですし、それを一生にわたって毎日食べ続けるかどうかもそれぞれだと思いますが、フッ素が「いくら食べても、いくら取り込んでも問題ない物質」でないことは、明らかです。
また、逆に考えれば、個人個人で摂取量が違うからこそ、一斉の集団フッ素洗口は問題である、ということも言えます。

では、フッ素入り歯みがき剤やフッ素洗口で、どのくらいのフッ素を取り込むのでしょうか。

それは、次の記事でお話ししましょう。(「フッ素洗口や歯みがき剤と耐容摂取量」)